2018年04月01日

リスク・カウンセラー奮闘記−167

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リスク・カウンセラー奮闘記−167
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●『社会総合大学』卒業の高齢者の想いに添う

 先日、トップセールスで評価されている生命保険会社の営業の方のご紹介で、今も現役で児童の社会福祉活動を続けておられる神奈川県に在住の85歳のご婦人にお会いし、不動産に関わる相続のご相談をお受けすることになりました。
 そのご婦人は、太平洋戦争の終戦を厳寒の大陸で迎え、73年前のその日の出来事や、その後に『引き揚げ者』として日本の故郷の村に辿り着いてからの、決して平穏ではなかった自身と姉妹の絆を切々と語って下さいました。
 お話しの中には、「もしもその出来事が私の身に起きたなら恐らく耐えられなかっただろう…」と感じられることばかり。
 病身の姉への気遣いや、心配でならない障がいのある我が子に対する親としてやるべき事についても、あれこれと思いを巡らせ、かたときも気を緩めることもなく精神的に張り詰めているご様子。
 苦境を乗り越え生きることへの執念と、ほとばしり出る智慧には、感嘆するばかりでありました。
ご婦人のこれまでのご苦労をねぎらう言葉を探していたら、わたしは社会総合大学で勉強させて貰ってきたからこれまで生きて来られたんだ…と、笑顔でサラッとお話しされていました。
 ご婦人のお話しは人間味が深く理路整然として手順を踏んで物事に取り組んでいらした83年間の人生は、正に社会に学んでこられた体験こそ、社会総合大学と言われた所以なのだと受け止めました。

●しかし…法は無情だ。法の不知は許さずの悔しさ

 ご婦人の姉妹のひとりが、最近亡くなられたことで、思いがけなく相続が発生したのです。
 当初、私が聞いていたのは7人兄弟のひとりが亡くなり相続が発生した。大陸から引き揚げてきた7人以外の相続人の話は全く話に出なかった。
 ご婦人は、現在生存してる相続人は4人だというが、念のため戸籍謄本をご持参いただくようお伝えして、弁護士事務所にてお会いする事となりました。
 預貯金と不動産を相続する為「相続人関係図」「遺産分割協議書」が必要になるので、真正なる相続人を調査するにはすべての相続人を確定し全員の同意がなければなりません。
 ご婦人は7人の内の病身の兄弟に遺された財産が相続されるようになれば良いと考えていたのですが、現実は、引き上げてから今日まで、助け合ってきた7人以外にも異母兄弟が8人も存在することが分かり、弁護士から説明を受けたご婦人の表情が厳しというか、悲しいというか…、一度も会ったこともない異母兄弟の親戚達にも財産が渡ってしまうことは、ご婦人には無情な宣告となったようだった。
 もしかしたら…、未開封の自筆証書による遺言書が存在するかも知れない…、果たしてご婦人が期待するような内容なのだろうか…。ご婦人は、自分の子供たちにはこのような事態になることだけは避けたいと、ポツリと言葉にしていた。
(リスク・カウンセラー 細野孟士)

2018年03月01日

リスク・カウンセラー奮闘記−166

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リスク・カウンセラー奮闘記−166
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●相続の発生は年齢の順番とは限らない?

 子供が健康に育ち、社会人として一人前になるまでは頑張らなければ…と、働き続けてきたのだが、気がついてみれば長男は45歳を過ぎ未だに独身で、「喜寿」になる母と2人暮らし。
 母親には夫が遺した都心に300坪の家と先代から引き継いだ数億円の現預金があり、このままの状態で自分が死ぬことになれば、膨大な相続財産で自閉症の長男が苦しむのではないかと気が気では無い日々が続いていた。
 しかし、自分が死んだときのために家族信託や財団法人の設立など試行錯誤して決断をする間際に、考えてもいなかった突然の出来事が勃発して頭の中は真っ白になってしまったというのです。
 こともあろうに、ひとり息子が突然に苦しみだし、急性心不全で亡くなってしまったのです。
 一回り年上の夫を見送ったときは、歳の順だからやむを得ないと覚悟を決めていたものの、まさか息子が亡くなるとは、夢にも考えていなかった。
 半年間、毎日呆然と過ごす日々でしたが、弁護士や税理士に相談して自分自身の終活を積極的に考えることに切り替え、相続財産が国庫金にならないように、社会に貢献している福祉団体か、夫が生前に関わっていた財団に寄付して、有効に活用してもらえるように弁護士に相談中です。年齢の順に相続が発生するとは限らないこと云うご相談でした。

●相続財産をめぐり…仲良し家族が心の探り合いか

 相続トラブルは誰もが避けたいものですが、未婚者が多くなった昨今の世相の中では、親の財産だけでなく兄弟姉妹の死亡による相続という事例も考えられるのです。
 『貧乏人の子だくさん』の家族で親が早くに亡くなり、やがて社会人となり子供同士で力を合わせて苦難を乗り越えた。
 幼い妹や弟たちに対して長男・長女は親代わりとなって面倒を見ること幾星霜か…。
 婚期を逃した姉たちがようやくホッと出来たのは、末の妹が結婚して子供が出来たと聞いたときだったという。
 相続で問題になるのは、財産を受ける相続人の経済状態の格差とひとりひとりの健康状態がどのようであるかによって、遺産分割の話をするときの様子が大きく変わってくるものです。
 親のライオンが仕留めた獲物を、子ライオンが奪い合うようにして時には噛みつく勢いで他の子ライオンを押しのけて肉を頬張る姿は、まさか人間の世界ではあり得ないと思いきや、悲しいかな、人間も金銭が絡むと野生動物の姿に戻ってしまうことが、しばしばあるようです。悲しいけど、そんな現実は実際にはあるのですね。
 (リスク・カウンセラー 細野孟士)

2018年02月01日

リスク・カウンセラー奮闘記−165

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リスク・カウンセラー奮闘記−165
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●空き家問題と相続登記の放置の現状

 増える一方の空き家問題の解決のために登記簿謄本を閲覧して感じることは、かつての所有者が亡くなった時に相続登記が出来ていない場合が多いことに気づかされる。
 建築されてすでに60年以上経過している建物の所有者が、全く変わっていない登記簿謄本を見ると、仮に25歳で新築の家を建てた人は、すでに85歳になっている計算になります。
 すでに住まなくなってから10年以上は経過している・・・・との近隣の人の証言から推測しても、
すでに亡くなっておられるとの証言もある。

●相続登記には期限があるのか?

 親が亡くなってから相続人が遺産分割について話し合い、一つ一つの財産を誰が相続するのかを書面に残したものが『遺産分割協議書』なのですが、親が一人暮らしをしていた様な場合、その建物を相続する人がいないことも考えられます。
 相続が発生してから話し合いにより協議書を作成して相続登記をするのが一般的ですが、相続税の申告が必要な場合は、亡くなってから10ヶ月以内に税務署へ申告し納税をしなければなりません。

 相続人が親の家を売却してお金に換えて一定の割合(法定相続割合)で分けると云うことになった場合に、真正なる相続人を明白にしなければなりませんが、その人の戸籍関係書類を収集して相続関係図に整理(一般的には司法書士か弁護士に依頼)しなければ、換価するための売買の手続きが出来ません。
 建物が現存する場合は解体をしてから売却処理に繋げる場合と、建物が存在するまま売却をする場合がありますが、建物の解体費用には数百万円かかるので、建物の解体費を差し引いた金額で売却する場合があります。一般的には、古い建物があるまま売買する場合が多いと思います。
 売買決済の直前に(ほぼ同時に)相続登記を行って所有権を新たな所有者名義にすることになりますので、解体の費用を差し引いた金額で売買されることになります。
 親が亡くなってから何年もの間、親の名義のままになっていた建物に住み続ける場合は、他の相続人との間ですべての相続財産の一部として建物を換価した場合と同じ金額の評価として分配を金銭で精算する方法をとるようにします。
 不動産の相続登記には期限はありませんし、登記をしていなかったからと罰則もありません。
 しかし、相続人が健全であるうちに話し合った上で納得がいく相続登記を済ませておくことが重要であります。

2018年01月01日

リスク・カウンセラー奮闘記−164

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リスク・カウンセラー奮闘記−164
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●故郷の農地は思い出としての相続財産

 東京に住んでいる地方の田園地帯が出身地だという人の相続財産の中の不動産に、田畑などの農地があるような場合には・・・・「なぜ農地を相続したの?」と思わず聞いてしまう。
 四国の山懐の出身だというA氏からの相談に…「貴方は農業従事者としての資格があるの?」と聞く。「農業をしながら母親が一人暮らしをしていた家だから、出来るものなら残して、別荘代わりに子供たちにも使わせたい・・・・」とのこと。
 「長男だからという理由だけで、自分の実家を相続しなければならないという考え方は果たして良かったのか…」
 「よくよく考えたら、自分の子供たちにとって祖父母の住んでいた家に対する思い入れは自分ほどない。地元に近い町に住んでいる妹ともっと相談して、有効活用してもらえる方法で相続しておけば良かったんですね…」
 田畑も誰かに耕作してもらわなければ荒れ地に変わり、「負の資産」の資産になることを改めて知ることになったA氏と、農地の売買の難しさ、農業委員会の存在と農地の維持管理費用について、話すこととなった。
 都会であれば1反(300坪)の土地の価値は容易に購入することは出来ない金額だが、こと農地にあっては国策による規制が多いため、都会にある農地のようにはいかない。
 農村に存在する農地は、農業従事者の高齢化や耕作放棄地の増加、農業所得の減少等が進行するなど厳しさを増していることを鑑みて、農業のあり方についての構造改革をすすめている中で、これからの農業が輸出拡大や6次産業化等によって、農業・農村の所得の倍増を目指すことにより、農業を若者たちが支えることを目指しているのだから、計画性のない乱雑な開発行為が行われることは、国策にも反することになる。
 相続農地の近隣の農業従事者にお願いして、継続的に農地として耕作してもらえることが出来れば、思い出が消えないように鍬や鋤で丁寧に整えてもらえるだけでも嬉しいもの…と、考えてはどうだろうか。
 相続財産の中で、居住地以外にも土地を所有している人(約32%)が「特にこれといって利用していない土地がある」という。
 なぜ利用していないのかの質問に、その理由は「遺産として相続したが、今のところ利用する予定がないため」が37%という結果がある。
 不動産を相続した人が心掛けるべき事がある。
近隣に迷惑がかからないように、正しく維持管理をして継続することであると思う。
 (リスクカウンセラー 宅地建物取引士 細野孟士)

2017年12月01日

リスク・カウンセラー奮闘記−163

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リスク・カウンセラー奮闘記−163
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●怖いぞ〜!放置空き家のトラブル

 全国で800万戸を突破した空き家は様々な問題を引き起こしている。地方都市だけでなく都心部においても街の景観を損ねると言うような情緒的な問題だけにとどまらず、放火されたり、害獣が住み着くなどの被害もまき散らす困った存在である。もしも貴方の所有する空き家が、その建物周辺に被害を与えた場合、持ち主として賠償責任が及ぶ場合もあるのです。
 もしも相続財産の中に「空き家」が存在している場合、その「空き家」から出火した場合、相続人としての権利と義務を有している全員の責任が問われることになります。

 『空き家対策特別措置法』が平成27年2月に施行されたましたが、過疎地のみならず、都心部でも急増している空き家は、空き家問題の専門家が調査に当たっても所有者さえ見つからないという問題解決の原点で手間取っているのが実情です。
 また、『木密地域不燃化10年プロジェクト』が今から10年ほど前にスタートして行政が動いていますが、目の前の急増する『空き家対策』の方が大きな問題になっており、昨今の空き家火災などへの対応に、早急に国民の意識が高まらなければどちらの対策も解決できないように感じます。
 所有者の責任で空き家を解体するにも、都心においては100〜200万円もの費用がかかることから、特措法ができたからといって、すぐさま空き家問題が解決するには、空き家所有者の賠償責任の重さをもっと周知させることだと思う。

●所有者(相続人)に問われる過失責任

 相続登記が終わっていない「空き家」は、相続を完了するまでは相続人全員にその過失責任があります。
 空き家が火元となる火事は後を絶たない。もしも、重過失を問われることになれば、落ち葉の季節になれば、マッチ1本で瞬く間に燃え広がります。

◆人が住む建造物等(住居、住居以外の建物、電 車などを含む)への放火。
 刑事罰は・・・・現住建造物等放火(刑法108条)
 法定刑:死刑又は無期若しくは5年以上の懲役
◆人が住居に使用せず、かつ人がいない建造物な どへの放火。
 非現住建造物等放火(刑法109条)
 法定刑:2年以上の有期懲役(自己所有物への 放火は6ヶ月以上7年以下の懲役)

 空き家が原因となって近隣に延焼した場合、管理状況など所有者の重過失が問われる可能性はあるのだという。そうなれば、空き家の持ち主に賠償責任が発生してしまう。貴方の『空き家となった実家』の管理は大丈夫ですか?
(空き家相談士  細野孟士)