2017年12月01日

相続放棄の前に知っていただきたい不動産管理義務のこと

====================================================================
相続放棄の前に知っていただきたい不動産管理義務のこと
====================================================================
なるほど納得・・・・不動産!!……No.049   株式会社ありがとう・不動産
====================================================================

 スマイスターMagaZineBizというWebサイトの記事のタイトルに眼が吸いよせられてしまいました。そのタイトルは「【不動産相続について調査】不動産を相続したくないは2割超!」(https://www.sumaistar.com/magazine/article/column/sumaistarri/6093/)。不動産を相続する可能性のある方々のうち、20.6%が不動産を相続する意思がないと答えたということです。
 この調査の対象は、全国の20代以上の男女781人で、相続を経験した人(全体の21.9%)と相続を経験する可能性のある人(全体の30.5%)にそれぞれ質問をしていました。
 そのうち、不動産を相続する意思と関係しそうな質問の結果をグラフにしたのが以下です。左のグラフでは、不動産を相続した方のうち、空き家や空き地のまま不動産を活用されていない方の割合が合計で38%になっています。また、右のグラフでは、不動産を相続する可能性がある方のうち、11.6%が不動産の活用を予定していないと答えています。これらの数字から、不動産を相続しても、自身や家族が住まない場合、その不動産を活用するのが難しい状況が窺えます。
 また、活用が難しいその不動産が主な相続財産の場合、相続に際し、その放棄を検討されても不思議ではない数字に受けとれます。ただ、相続を放棄される前に、ぜひとも知っておいていただきたいことがあります。
 それは、相続を放棄したからといって、必ずしも相続不動産の管理義務を免れるわけではないということです。もし相続放棄の結果、相続人が誰もいなくなってしまった場合、最後に相続を放棄した方に相続不動産の『管理責任』が発生するためです。具体例で考えてみましょう。配偶者も親兄妹もいない女性が死亡し、その相続人が@娘ひとりの場合、A娘と息子のふたりの場合に分けて考えてみたいと思います。@のケースでは、その娘が相続を放棄しても相続不動産の管理責任を負うことになります。Aでは、娘と息子が両方相続を放棄しても、あとに相続を放棄をしたほうが相続不動産の管理責任を負うことになります。

 相続不動産の『管理責任』には色々な事柄が含まれますが、たとえば、家の屋根から落ちた瓦が原因で怪我人が発生した場合、その管理責任者は、怪我人に対して損害を賠償する義務があります。この責任は、何も過失がなくても負わなければならないと定められています。このような状況に陥ってから、相続放棄を後悔しても仕方がありません。相続を放棄したいと思われたときは、事前に専門家にご相談されることをお勧めします。

168-不動産グラフ1.jpg

168-不動産グラフ2.jpg



2017年11月01日

次の世代のために、不動産は登記なさってください

====================================================================
次の世代のために、不動産は登記なさってください
====================================================================
なるほど納得・・・・不動産!!……No.048   株式会社ありがとう・不動産
====================================================================

 今回は、長期的な視点で不動産を見てみたいと思います。
 一般消費者には意外と知られていないのですが、日本には所有者が不在だったり不明だったりする土地が相当あります。たとえば、東日本大震災の被災地では、高台への移転が計画されましたが、所有者不明などの土地が多数存在することで移転用地の取得が難航しました。所有者が不明などの問題があっても、ある程度土地の収用手続きが進められる特別法が設けられたのは、震災から3年以上も経過した2014年4月末でした。移転用地の所有者がそれぞれ明確で、連絡できる状態であれば、被災された方々を長い年月待たせる必要はなかったかもしれません。

 所有者がはっきりしない土地が相当量存在する理由は、相続した不動産を登記しないからだといわれています。しかし、どの程度、所有者がはっきりしない土地が存在するのかは、現時点ではわかりません。
 そのなかで、農林水産省が相続未登記の農地がどの程度あるかを昨年調査しました。その結果が以下のグラフです。これらの所有者がはっきりしない遊休地は、企業の参入や機械化を促す弊害となります。そして、対策を講じなければ、世代を経るごとに所有者のはっきりしない農地が増えることは、目に見えています。

 これと同じことが住宅地においても、起こっているといわれています。平成29年度の土地白書では、4市町村の400の土地において登記簿を調べたところ、50年以上登記が更新されていないケースが19.8%になったと記載されています。やはり相続の際、登記せずに放置されているケースが多いと考えるのが妥当でしょう。相続が発生して数十年経過してから、相続人を全員探しだして、不動産に関する同意を取りつけるのは、大変なことです。

 登記の手続きを簡素化したり、国土を管理する制度を設けたり、行政サイドですべきことは、数多くあると思いますが、すぐには目処が立たないと思われます。相続の際、不動産の相続登記をする利点が少ない点は重々承知していますが、それでもやはり、相続登記をしていただきたいと思います。日本は、地震が多いだけでなく、最近は、豪雨などの被害も相次いでいます。所有者不在や不明の不動産が復興の妨げにならないよう、各人が心がけていただけると幸いです。

167-不動産グラフ2.jpg

2017年10月01日

値上がりは高いところから、値下がりは低いところから

====================================================================
値上がりは高いところから、値下がりは低いところから
====================================================================
なるほど納得・・・・不動産!!……No.047   株式会社ありがとう・不動産
====================================================================

 タイトルは、地価の話です。
 8月28日、茂木敏充経済財政・再生相が記者会見で「戦後2位の(57カ月間に及んだ)いざなぎ景気と並ぶ景気回復になった可能性が高い」との認識を示しました。こういうニュースが流れると、好景気の実感があまりなくても、いま持っている不動産の価格もあがるのではないかとお考えになる方もいらっしゃいますが、そう判断されるのは、早計かもしれません。なぜなら、タイトルのとおりだからです。

 以下は、地価公示の『東京圏の市区の住宅地の平均価格』(http://tochi.mlit.go.jp/kakaku/chikakouji-kakaku)の一部をグラフにしたものです。抜き出したのは、東京23区のうち、平成29年の前記平均価格の上位4区下位4区の20年間の推移です。上位4区は、千代田区、港区、中央区、渋谷区で下位4区は、練馬区、江戸川区、葛飾区、足立区です。過去20年間で地価に影響を与えた主な出来事のひとつは、平成20年のリーマンショックです。その翌年は軒並み住宅地の平均価格が下がっています。今回の景気回復の始まり、つまり景気の谷は平成24年11月とされており、上位4区も下位4区も例外なく平成25年は、前年比増になっています。ただ、景気の谷のあった平成24年から平成29年までの平均価格の伸びは、区によって大きく異なります。千代田区と港区が33%、中央区が44%、渋谷区が13%、練馬区が7%、江戸川区が6%、葛飾区が7%、足立区が3%となっています。同様に、平成10年に比べ、平成29年の平均価格がどれほど変化したかを比べると差がさらに開きます。千代田区が69%増、港区82%増、中央区34%増、渋谷区42%増、練馬区15%減、江戸川区22%減、葛飾区19%減、足立区13%減となっています。大幅に上昇した上位4区とは対照的に下位4区は、かなり下落したことになります。

 もちろん、これらの数字はすべて平均です。同じ区であっても、平均を上回る住宅地もあれば、平均を下回る住宅地もあります。それでも、タイトルにある傾向は以前からあり、東京においては、丸の内近辺、つまり千代田区周辺から値上がりが始まり、時計まわりに地価上昇が波及し、値下がりは逆に東側から始まって反時計回りに進むと言われています。これからは人口減少に伴い、土地の需要が減り、さらにこの傾向が顕著になると思われます。つまり、これから土地の価格が上がるのは、投資や投機マネーが流れ込む一帯、交通の便が良く人々の人気を集め続けるエリアなど、かなり地域が限定され、土地全体が値上がりすることは期待できません。


166-なるほど納得不動産.jpg
posted by 寛良 at 12:00| 東京 🌁| Comment(0) | ■【RFCレポート】なるほど納得…不動産!! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月01日

これからのマンション購入は中古が主流?

====================================================================
これからのマンション購入は中古が主流?
====================================================================
なるほど納得・・・・不動産!!……No.046   株式会社ありがとう・不動産
====================================================================

 首都圏において、中古マンションの成約戸数が新規に発売されるマンションの戸数を上回りました。以下のグラフのとおり、新築マンションの大量供給が終わってからも、中古マンションの成約戸数はじわじわと上昇し、2016年の統計結果が出たところ、とうとう逆転したことがわかりました。(不動産経済研究所公表「全国マンション市場動向」[新規発売戸数]および東日本不動産流通機構公表「首都圏不動産流通市場の動向」[中古マンション成約状況]より作成)

165-不動産グラフ.jpg

 中古マンションの成約が増えたことは、空き家を減らすという国の政策も影響しているでしょうし、マンションの新規発売が減ったことは、人手不足などを理由とする建設費の高騰も影響しているでしょう。わたしは、先行きの不透明さから中古を選ぶ方が増えたことも理由のひとつではないかと考えています。

 マンションを買う場合、現金で購入なさる方は少なく、ローンを組まれる方のほうが多いと思います。不動産会社の営業は、ローンをいくら借りることができるかという視点で話しますし、堅実な消費者は、ローンを無理なく返済していけるかを考えます。そして、さらに堅実な消費者は、いつでも自由に引っ越しができるかを考えます。たとえ終の棲家として買った家であっても、想定していなかったことが起きれば、引っ越しをする可能性があります。たとえば、購入から3年後に引っ越しをする必要が出てきた場合、マンションを売るか、貸すかを検討しなければなりません。3年後の時点で、いくらで売れる、または貸せるという評価がわかったとき、比べる数字は、ローン残高です。売却金額でローンを完済できる場合、または月々の家賃収入でローンを返済できる場合は何の問題もありません。問題なのは、住む家を売却したあともローンの返済が残る場合や、家賃収入にいくらか追加しなければ月々ローンを返済できない場合で、金額によっては、どう頑張っても経済的に引っ越せない状況にもなり得ます。ローン計画を立てた時点で、それ以降のローン残高はある程度予測できます。難しいのはマンションの評価額のほうです。

 2015年の国勢調査で、日本の人口は減少に転じました。その後も世帯数は微増し、2025年の国勢調査あたりで世帯数が減少に転ずると推計されています(https://www.mlit.go.jp/common/001134002.pdf)。つまり、あと数年で世帯数が減少し、全国で必要とされる住宅戸数も減少に転じると見られています。その後の需要と供給のバランスがどう変わるかは、立地によって大きく変わってくると思われますが、これまでに経験したことのない状況なので、専門家であっても正確な予測ではできません。そういった先行きの不透明さから、評価額がすでに見えている中古マンションのほうが新築よりもリスクが低く見えるのは当然のことです。ローンを組んで家を購入する場合は、ぜひその先の家の評価額とローン残高の推移をイメージなさってみてください。

2017年08月01日

不動産は『負動産』にもなり得るという意識変化?

====================================================================
不動産は『負動産』にもなり得るという意識変化?
====================================================================
なるほど納得・・・・不動産!!……No.045   株式会社ありがとう・不動産
====================================================================

 平成29年版の土地白書(http://www.mlit.go.jp/statistics/file000006.html)に掲載されていた、家計の土地に対する意識調査をご紹介します。

 以下のグラフは、『土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産か』という質問に対する回答を年度別にまとめたものです。平成5年度から平成28年度までのあいだに『そう思う』と答えた割合が61.8%から31.1%へと約半分になっています。そのいっぽう、『そうは思わない』と回答した割合が21.3%から42.1%へと約2倍の増加になっています。さらに、『そう思う』と回答した方に、土地が預貯金や株式に比べ有利な資産と考える理由を聞いたところ、平成28年度では「土地はいくら使っても物理的に滅失しない」と回答した方の割合が40.0%と最も高く、平成9年度以降、40%前後の高い割合で推移しています。同じく平成28年度の理由の2番目は、『土地は生活や生産に有用だ』(15.9%)で、平成7年度以降ほぼ横ばいで推移しています。

164-不動産グラフ.jpg

 上記のグラフから、一般消費者の意識変化が認められますが、これを不動産会社の目で見てみると、土地にも格差が生まれているように感じます。格差が生まれた原因のひとつは、土地に対する需要の変化だと考えます。過去には『生活や生産に有用』な土地だったのに、いまはそうでない土地が生まれているのではないでしょうか。総務省統計局発表の国勢調査(http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/final/pdf/01-08.pdf)によると、1960(昭和35)年の第一次産業従事者割合は32.7%、第二次産業では29.1%、第三次産業では38.2%でした。50年後にあたる2010(平成22)年では、第一次産業従事者割合は4.2%、第二次産業では25.2%、第三次産業では70.6%でした。50年のあいだに、第一次産業従事者割合は、約8分の1に減少しました。効率化によって従事者数が減った面もあるかもしれませんが、土地の需要も確実に減少しています。いっぽう第三次産業従事者割合はおよそ倍になっています。第三次産業は、第一次産業に比べ、ひとり当たりに必要な土地も少なく、かつ需要が集中する傾向があります。

 こうして土地の需要が減少した地域では、地価がさがり、さらに産業が衰退すれば税収も減り、交通網、電気、水道といったインフラを維持するコストが高くなって、『生活や生産に有用』な条件が揃わなくなることが見えてきます。そうなると、「土地はいくら使っても物理的に滅失しない」というメリットがデメリットに転じる可能性が生まれます。所有者の納税などの義務も消滅せず、いわゆる動産』になってしまいます。土地を所有する方々にとって、その土地がいつまで流通性を備えていられるか考えなければならない時代になり、それを消費者も意識するようになったということかもしれません。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。