2018年01月01日

特許調査による開発の効率化C

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特許調査による開発の効率化C
弁理士   酒井俊之
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〜調査を行わない開発は大きなリスク〜

1.知財情報を使った開発の効率化はできるのか?
 今回は、知財情報を使った開発の効率化の他の事例について説明する。
 もともとの問題の所在は、『中小企業であれ、大企業であれ、多くの企業は、業務の効率化を図り、コストダウンをしているのに、知財情報を使った開発の効率化がもっとできるだろう』というものである。

2.特許情報を活用した開発テーマの選定について
 特許情報の解析としてパテントマップによる技術の解析を行うことに加えて、そこにマーケティング情報を付加することで、ニーズも加味した開発テーマの選定が可能となる。
 下図は、即席麺に関する『市場ニーズを考慮した開発分野候補の検討』である。上側がパテントマップ、下側がマーケティング情報となっており、横軸は、いずれも共通となっている。
 パテントマップは、特許情報を解析してマップ上にビジュアル的に示したものである。一方、ここでのマーケティング情報は、ユーザへのアンケート結果である。

169-酒井先生.jpg

 横軸を、発明における課題(ユーザニーズと同じ)として上下共通にすることで、同じ課題に対して、上側を見るとその業界の特許出願状況が、下側を見るとユーザの関心度が一度に把握できる。
 例えば、一番左側の『食材』については、上側のバブルチャートの大きさが出願件数に対応しており、『製造装置』や『添加物』に関する特許出願が少しあるのがわかる。一方、下側のバブルチャートの大きさが関心の高さであり、『男性』『女性』『20代』『30代』で、ある程度の関心が示されているのがわかる。
 同様に、中央の『食味風味』については、上側で特許出願が多くみられ、下側でもユーザの関心が払われているのがわかる。
 一方、右から3番目の『調理性』については、上側で特許出願が多いが、ユーザの関心はほとんどなく、ユーザニーズのない開発がおこなわれていることがわかる。
 ここで、特筆すべきは、中央に破線で示した『健康面』である。これは、上側で特許出願がほとんどない、すなわち、開発が手つかずであるにもかかわらず、下側でユーザの関心の高い事項であることがわかる。
 すなわち、このような『健康面』を開発テーマとして選定することで、ユーザニーズが高く、且つ、他社が未だ開発を行っていないテーマを選定して開発を行うことができる。

3.パテントマップによる開発の効率化
 このように、パテントマップ、さらにマーケティング情報をここに付加することで、(1)重複研究・重複開発を回避して、(2)特徴・優位性が出せる開発対象の特定を行った上で開発が行える。これにより、回収の見通しをもった投資が可能となる。また、(3)予め侵害リスクを把握することができ、侵害リスクを払拭して、自信を持って売り込みもできる。さらに、(4)競合他社を予め認識することができ、競合他社を意識した開発戦略が可能となる。

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◆プロフィール◆ 酒井俊之(さかいとしゆき)

酒井先生2.jpg

 1976年生。福島県伊達市出身。慶応大学院基礎理工学専攻修士課程修了。03年弁理士試験合格。04年弁理士登録。同年、創成国際特許事務所に入所。08年、福島事務所開設に当たり所長に就任。
 地方公共団体や新聞社主催の各種セミナーの講師として活躍する一方、事業モデル『知財制度の活用戦略』を展開。出願から20日で登録査定という早期の権利化モデルを実現。
 東北経済産業局特許室『東北地域知財経営定着支援事業』総括委員、東北工業大学非常勤講師など。

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