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次の世代のために、不動産は登記なさってください
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なるほど納得・・・・不動産!!……No.048 株式会社ありがとう・不動産
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今回は、長期的な視点で不動産を見てみたいと思います。
一般消費者には意外と知られていないのですが、日本には所有者が不在だったり不明だったりする土地が相当あります。たとえば、東日本大震災の被災地では、高台への移転が計画されましたが、所有者不明などの土地が多数存在することで移転用地の取得が難航しました。所有者が不明などの問題があっても、ある程度土地の収用手続きが進められる特別法が設けられたのは、震災から3年以上も経過した2014年4月末でした。移転用地の所有者がそれぞれ明確で、連絡できる状態であれば、被災された方々を長い年月待たせる必要はなかったかもしれません。
所有者がはっきりしない土地が相当量存在する理由は、相続した不動産を登記しないからだといわれています。しかし、どの程度、所有者がはっきりしない土地が存在するのかは、現時点ではわかりません。
そのなかで、農林水産省が相続未登記の農地がどの程度あるかを昨年調査しました。その結果が以下のグラフです。これらの所有者がはっきりしない遊休地は、企業の参入や機械化を促す弊害となります。そして、対策を講じなければ、世代を経るごとに所有者のはっきりしない農地が増えることは、目に見えています。
これと同じことが住宅地においても、起こっているといわれています。平成29年度の土地白書では、4市町村の400の土地において登記簿を調べたところ、50年以上登記が更新されていないケースが19.8%になったと記載されています。やはり相続の際、登記せずに放置されているケースが多いと考えるのが妥当でしょう。相続が発生して数十年経過してから、相続人を全員探しだして、不動産に関する同意を取りつけるのは、大変なことです。
登記の手続きを簡素化したり、国土を管理する制度を設けたり、行政サイドですべきことは、数多くあると思いますが、すぐには目処が立たないと思われます。相続の際、不動産の相続登記をする利点が少ない点は重々承知していますが、それでもやはり、相続登記をしていただきたいと思います。日本は、地震が多いだけでなく、最近は、豪雨などの被害も相次いでいます。所有者不在や不明の不動産が復興の妨げにならないよう、各人が心がけていただけると幸いです。