2017年05月01日

事業と知財戦略の一体化の実現

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事業と知財戦略の一体化の実現
弁理士   酒井俊之
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1.事業と知的財産は一体不可分
 製造業であろうとサービス業であろうと、何らかの事業を行っていれば、事業と知的財産は一体不可分である。なぜなら、事業を行っている限りは、製造業であれば、他社製品と比較した自社製品の特徴(技術的に差別化できる部分)や、サービス業であれば、他社と比較した自社サービスを象徴するサービスの名称やロゴ(識別できる標識部分)は、すべて知的財産だからである。

2.事業と知的財産を一体化させる
 それでは、もともと一体不可分の事業と知的財産との関係を積極的に意識し、知的財産を戦略的に活用させることはできないだろうか? そのためには、
(1)知的財産となり得るものを意識すると共に
(2)知的財産を生み出したり、活用する知的財産活用を意識することである。
 事業で成功している会社やその経営者は、A.無意識的に、これら(1)、(2)を行っている場合と、B.意識的に、これら(1)、(2)を行っている場合がある。

 余談になるが、企業を外部から客観的にサポートする我々のような外部専門家は、Aのように無意識的にできている会社に対して、経営者のセンスの良さにたびたび感心させられる。
 例えば、会社の作業服に、自分の所属に関係する資格を表示したり、永年勤続の年数を表示することで、会社への貢献や帰属意識を(知財とは一言も言わず)意識させて、社員のモチベーションアップをさせている会社もある。このような会社であれば、会社の制服や作業服を着て仕事をする満足感も違ってくるのだろう。
 一方で、多くの会社がそうであろうが、Bのように、知的財産を意識したり、意識的に知的財産活動を行う場合もある。

3.事業と知的財産を一体化させるポイント
 このように、意識的に知的財産や知的財産活動を行う場合のポイントは、事業の企画立案から、開発、そして事業化、さらには、事業の見直しまで、すべて知的財産の対象であり、これらを遂行するのは知的財産活用であると考えることである。
 例えば、図に示すように、一つ新規事業の開発を行う場合でも、社内で行う既存の競合品の分析も、差別化できる自社製品の特徴を創り出すための知財活用である。また、プロトタイプ製作前に行う、一次的な特許調査も、重複研究や重複投資というリスクをヘッジする重要な知的財産活動である。

 このように、開発の各プロセスにおける知的財産や知的財産活動を意識し、これらを社内で完結させる部分と、外部ソース(例えば、弁理士や各都道府県に設置されている知財総合支援窓口)に担ってもらう部分とを分けていくことが賢明であろう。
 もちろん、当初は、外部ソースに大部分を頼りながらも、徐々に社内体制を整備して、自社で完結できる部分を増やすように社内の知財担当者を育てていくことも良いだろう。


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◆プロフィール◆ 酒井俊之(さかいとしゆき)

酒井先生2.jpg

 1976年生。福島県伊達市出身。慶応大学院基礎理工学専攻修士課程修了。03年弁理士試験合格。04年弁理士登録。同年、創成国際特許事務所に入所。08年、福島事務所開設に当たり所長に就任。
 地方公共団体や新聞社主催の各種セミナーの講師として活躍する一方、事業モデル『知財制度の活用戦略』を展開。出願から20日で登録査定という早期の権利化モデルを実現。
 東北経済産業局特許室『東北地域知財経営定着支援事業』総括委員、東北工業大学非常勤講師など。

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