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リスクのクスリ
リスクのクスリ
従前顧客と将来顧客を大切にしていますか?
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◆企業にとって顧客とは何でしょう?
企業は、その規模にかかわらず利益がなければ事業を継続してゆくことはできません。そして、その利益をもたらしてくれる顧客がいなければ、事業そのものの存続がありません。
それでは、企業にとっての顧客とは一体何なのでしょうか。誰もが知るドラッカーの有名な『事業の目的とは顧客の創造である』という言葉にある“顧客”とは、その企業の商品を購入してくれる企業だけではありません。
その企業が事業を運営するに当たって必要な商品や原材料の仕入れ先、優秀な人材を紹介する求人斡旋会社、物流会社、情報提供や経営問題のアドバイスをするコンサルタント会社、金融機関、法務、税務、労務、保険の専門家、最近ではインターネットの専門会社など、多くの関係者の総てが顧客であるという考え方が大切になっています。
リーマンショック、東関東大震災と欧州や中国の経済情勢など、時代はめまぐるしく変化している現在、企業が生き残るために『従前顧客』に対する対応と『将来顧客』の拡大など、表面だけの現象から安易な判断をすることは危険きわまりないといえます。
事業運営するその企業に全方向から関わる顧客の視点は厳しいほど強い味方になるものであって、その顧客からの情報は丁寧に受け止め分析し、経営改善の力へと変換していかなければなりません。
◆口コミ客、紹介客、将来顧客が企業を成長させる
顧客を創造するということは、ひと言では言えないほど容易なことではありません。
製造業や建設業において協力会社や仕入先は製造コストや原材料費という考え方で、景気の変動によって親会社の都合で原価調整をする上で好都合な取引先として考えられていましたが、顧客の創造という考え方に逆行するものです。
誰もが「素晴らしい会社」と評価されるのは、品質(作業基準)や納期(工期)には厳しくても、窓口担当者との関係がホットで、共に成長することを旨としていることといえるでしょう。
外注先、仕入れ先という関係の顧客を創造するという考えにおいて、口コミ客や紹介客は将来重要な顧客となる確率が高いとされています。
販売先、外注会社、仕入れ先、総務・経営の「従前顧客」の中で、理想的な顧客、優良顧客とはどんな顧客なのか、共通の認識として明確になっているだろうか。
また、現在は取引が少ないが、これから「将来顧客」になって欲しい会社はどこなのか、又、アプローチしているのに「将来顧客」になっていかない本当の理由を掴み取っているのかは、経営にとって重要な観点ではないでしょうか。
他方において、当社の競合会社における「従前顧客」を知り、その企業との取引が成立している理由は何であるのかを知ることも、自社の「将来顧客」を創造する上で重要な情報となるでしょう。
さらに、同業種であるのに殆ど競争相手になっていない成長会社があったとしたら、それは何故なのかの究明しておかなければならない。
◆事故追求のスピーディーな対応が感動を生む
企業の成長過程で想定外の事故やトラブルが想わぬ災いを誘発することがあります。
口コミや紹介客によって顧客の創造をするには、顧客からの苦情を吸い上げる社内システムがあることは必須で、事故が発生したら原因をスピード追及し、原因と結果因果関係の開示、再発防止策の提案を文書で提出すると顧客のスピード対応に対する「感動」を引き出すことができるといわれています。
さらに、顧客の苦情内容や提案意見に傾聴し、些細なことを覆い隠さず顧客と共に再発防止策を講じることができれば、その顧客は「ファン意識」「信者意識」として関係ができることになります。
顧客が感動してくれたとき、それは「口コミ客」や「紹介客」を創造させるという(+)のスパイラルによる良質な顧客の創造ができるのです。
足で稼ぎ出す顧客の創造ではなく、丁寧な仕事を繰り返し実践しながら顧客の創造をするのはいかがなものでしょう。
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