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気になる! コトバのあれこれ
浴槽はどうして湯船?
『日本語ふしぎ探検』 日本経済新聞社/日本経済新聞出版社講談社
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春まで遠くないとはいえ、まだまだ寒い日が多く、お風呂もシャワーで済ませずに湯船にゆったり浸かりたいものです。でも、どうして浴槽のことを湯船というのでしょうか。
この『日本語ふしぎ探検』によると、入浴の習慣が広まった江戸時代、水運の町であった江戸では、地方から海産物や木材などを積んだ船が行き来していました。そうした船着き場に、船頭や船旅の客らを入浴させる船が現れ、それが湯船と呼ばれていたそうです。はじめは浴槽はなく、湯を入れた桶を積んだだけで「行水船」と呼ばれていましたが、やがて、浴槽を設けた屋形船になり、港や河岸に横付けして商売をするようになったそうです。中央に風呂が設えられた全長10メートル弱の船は、移動式の銭湯としても親しまれたとあります。湯船は、文化文政期(1804年〜29年)ごろまで続きましたが、江戸の町が整備され、銭湯の軒数が増えてくると次第に消えていったとか。
それなのに、湯船という言葉だけが残ったのは不思議です。
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