前回は全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)から支給される「傷病手当金」についてお伝えいたしましたが、今回は働けない状態が悪化して長引いた場合の国民年金や厚生年金加入者から支給される「障害年金」についてお伝え致します。
【障害年金は現役時代のセイフティネット】
「年金」と聞くと退職後に受け取る「老齢年金」を思い浮かべますが、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合、現役世代の方も年金が受け取れる事をご存知でしょうか?
障害年金は2つの種類があり、国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。いずれも原則として初診日から1年6か月後に法令で定める障害状態に該当している場合に支給される年金です。受け取り条件としては一定の障害の状態にあること、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないことなどの条件があります。
【障害年金だけで日々の生活は成り立つのか?】
いくらもらえるのか?という部分ですが、障害の程度、国民年金か厚生年金か、お子様の有無によって受け取り金額には大きな差が出てきます。
例えば、ご主人様35歳、奥様と二人のお子様というご家庭で、一家の大黒柱であるご主人様が一級の障害状態になって働けなくなったケースで解説します。
<国民年金の場合>
一級障害状態の場合は一か月あたり約12万円の支給となります。計算式は下記の通り。
【1級】 779,300円×1.25+子の加算
【2級】 779,300円+子の加算
子の加算(子とは18歳の春まで)
第1子・第2子 各 224,300円、第3子以降 各 74,800円
779,300円×1.25+224,300円+224,300円=1,422,725円/年。月平均1,422,725円÷12か月=118,560円
<厚生年金の場合>
上記の同様のご家庭でご主人様はサラリーマン。平均報酬月額が30万円であった場合、
一か月あたり約23万円の支給となります。計算式は下記の通り。
【1級】(報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕
【2級】(報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕※
【3級】(報酬比例の年金額) ※最低保障額 584,500円
(報酬比例の年金額)算出式
平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬月額×5.481/1000×平成15年4月以降の被保険者期間の月数
平成17年22歳から35歳まで厚生年金
(報酬比例の年金額の計算式)
300,000円×5.481/1000×156か月=256,511円
但し、300ヶ月未満の場合は300ヶ月分とみなされ、256,511円×300ヶ月/156ヶ月=(報酬比例の年金額)は493,290円。
(1級障害の場合)
493,290円×1.25 + 配偶者分224,300円+子二人分448,600円+障害基礎年金1,422,725円=2,712,238円。
月平均2,712,238円÷12か月=226,020円
住宅ローンなどを抱えていたり、お子様の教育費がピークを迎えている時期に一家の大黒柱の方や独身の方であっても働けなくなり収入が減った場合に助けてくれる仕組みとして公的年金はあったとしても、一番大切なところはこの金額で生活費が足りるのか?という部分ではないでしょうか?
「ご自身の老後」についても同じことが言えるのですが、生活費が困窮してしまう事ほど悲しく切実な事はありません。その焦りから藁をもすがる気持ちで借入に走ってしまうと負の連鎖が膨らみ深刻な状況に陥ってしまいがちです。そうした状況から身を守る為にも確りとご自身の為に何か対策をしておきたいものですね。