最近「働けなくなったら日々のお金はどうするの?」と人気タレントを使ったTVCMが流れている影響からかこうしたご相談が増えています。私たちの日々の生活は『働いて収入を得る』という前提条件の元に成り立っている事実を突きつけられる思いがしています。
今回はそのようなあってはならない事態に陥ってしまった場合の知識をお伝えいたします。
◆健康保険の仕組みとして、
「傷病手当金」が支給されます
国民健康保険の加入者は対象外となりますが、会社の健康保険に加入し、病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に「傷病手当金」が支給されます。
給付の対象は仕事に就くことができないことについての証明がある場合、自宅療養の期間についても支給対象となります。ただし、業務上・通勤災害によるものは労災保険の給付対象となりますので傷病手当金支給の対象からは外れます。
病気やケガの療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間(待期)の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。待期期間は有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれます。しかし、2日だけ休んでその後1日出社し、また2日休むという場合は待期期間3日に該当しない為、支給の対象からは外れます。
また、休業中であっても給与が支払われている間は、傷病手当金は支給されません。しかし、給与の支払いがあっても傷病手当金の額よりも少ない場合はその差額が支給となります。
傷病手当金が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヵ月で、支給終了の期日は支給開始の時期に決まります。もし、その間に出勤できた日数があったとしても出勤した日数分を延長して支給されることはありません。
一番気になるところは「いくら支給されるか」ですね。
一日当たりの金額の計算式は
支給開始日以前12か月の標準報酬月額を平均額÷30日×2/3
例えば、直近12か月平均の標準報酬月額の平均が25万円だったとすると
25万÷30日×2/3=5,556円です。
30日休んだ場合は5,556円×30日=166,680円という計算になります。
税金や社会保険料等の支出も考えると「収入は今までの2/3以下に減る」ことがおおよその事態として予測できます。
◆「傷病手当金」だけで生活は成り立つのか?
病気やけがで働けなくなった場合、社会保障として傷病手当金の支給はあったとしても、
果たしてそれだけで生活が成り立っていくのでしょうか?
収入今までの約2/3となりますし、収入が減っても止まらない生活費や教育費、車や家のローン、家賃などは支出として当然のことながら必要です。
また、病気やけがの場合はいままでかからなかった医療費なども重くのしかかってきます。単純に支出の部分だけではなく「いつ仕事に復帰できるのだろうか」といった不安な精神状態に陥る危険な可能性も予測できることから、今はこうしたご相談が増えているのだと考えています。