********************************************************
リスク・カウンセラー奮闘記−149
********************************************************
リスク・カウンセラー奮闘記−149
********************************************************
●「裏切り…」と「裏切られ…」相手の気持ちは…
中小企業経営者にとって、日々の事業でトラブルが発生したぐらいのことでは、平常心が乱れるということはほとんどないだろう。何故ならば、日々の事業では大なり小なりのトラブルは想定されていて、その対処法は熟知しているからであって、心臓が高鳴り急激に血圧が上昇することなど本当に希有なことだ。
「常に平常心であるべき…」というのは無理なことで、もしも心が乱れたら、乱れた心を整える感情を機能させれば良いのだ。
「人を裏切る…」とは、契約した約束事を一方的に違背した場合と、対人関係において、相手が自分に期待していたことを十分知りながら、当初の甘えの依存心から抜けきれず「期待を裏切る…」という微妙な裏切り行為があるが、後者の場合は期待に応えるために何をどれだけ努力したのかによって、見える化の度合いで許されるものがあります。
また、恋する人に逢えない想いで心が乱れるという時代も日本にはあった。この場合に裏切りがあったのかどうかは分からないが心は乱れているのだ。
『陸奥(みちのく)の 偲ぶもぢずり
誰(たれ)ゆゑに 乱れそめにし われならなくに』
古今集(河原左大臣)
◆追い詰める気持の高まりは体内細胞が腐るようだ
静かにしていると心拍音が聞こえるほどの心臓の高鳴りと頭痛、手足が理由もなく震えはじめ下半身の筋力が一気に弱くなるような…。電話しても電話に出ない。メールをしても、手紙を書いても返事が来ない。
ただ、苦しみを治したいと訪ねてくるクライアントのカウンセリングしているときだけは、手足の震え現象が止まるのは、クライアントが自分より辛い立場にあって苦しんでいる人だから…なのだろうか。
契約を反故にして、逃げ回る相手の事情を知る由もなく、見えない相手を追いかけているときの自分の心理状態は、60兆個の体内の細胞が腐るかのような感覚になるし、もしかしたら、腐った細胞から悪臭が出ているのではないかとさえ感じることがある。
詐欺師とは『約束を初めから裏切るつもりの者』ということなのだ。
ある「老齢熟練」の司法書士がこう言った。
「私との約束を裏切っても、私以外の人との約束は守る様にと言っている・・・・」と、詐欺まがいの取引をする者たちに、常に言っているのだと、その先生はいう。
『いま私の心が乱れている?」と気付いたとき、静かなところで一人「胎内内観」をするようにしています。
乱れた心を落ち着けるために『ありがとう』の言葉をお経のお題目を唱えるかのように言葉にして瞑想して内観を続けます。
親が、自分にしてくれたことや自分を守ってくれた言葉が、次々に瞼のスクリーンに映し出されるように感じます。そして、腐りかけていた細胞が、元気によみがえってくる感じがしてくるのです。
---------------------------------------------------------------------------
経営に失敗して15年後、神田古本街で出会った「私の宝物」
事業経営の成否は、社長次第で決まるという信念から、社長だけを対象として情熱的に活動されている異色の経営コンサルタント。
空理空論を嫌い、徹底して現場実践主義とお客様第一主義を標榜。社長を小学生のように叱りつけ、時には、手にしたチョークを投げつける反面、社長と悩みを共にし、親身になって対応策を練る。まさに「社長の教祖」的存在であった。
(本書の巻末より抜粋)
経営に失敗した中小企業経営者の一人として、ページをめくる程に背筋が伸びる「座右の銘」となった私の宝物。白内障手術のベットに持ち込んで読んだら、何故か心が落ち着きました。
発刊:1999年6月初版
著者:一倉 定
出版:日本経営合理化協会
---------------------------------------------------------------------------