*********************************************************
リスク・カウンセラー奮闘記−144
*********************************************************
リスク・カウンセラー奮闘記−144
*********************************************************
◆試練に挑む子に直ぐ手を貸してしまう親!
「獅子は子を産んで三日を経る時、万尋の石壁より母これを投ぐる(中略)」という言葉は、経営者であれば聞いたことがある筈です。
本当に深い愛情を持っている親であれば、あえて自分の子供に苦しい試練をさせて力量を試し、自力で這い上がってきた者だけを育て上げるということのようである。が、近年、話題となっている中小零細企業における親子間の事業承継を観て、余りにも子に対して甘やかし承継劇となっている状況が多いと感じる。
もしも『二者択一の選択肢』を決定しなければならない状況に直面したとき、困難な方を選択するべきだと故人は言っている。
容易に解決できそうなものは、目の前の千円札を拾うようなもので、多くの場合根本的な解決策になっていない場合が多いという。
困難な問題には、実は、二者択一ではなく第三の選択肢も含まれている可能性が高く、自分の安易な意識だけで問題解決に臨んでいると、困難な選択肢の中に隠れている重要なポイントに気づけないままに安易な選択をしてしまうことになる。
◆何故出来ないか?親の子離れ!子の親離れ!
親が後継者に対して「獅子の子落とし」をしたとき、崖から這い上がろうとする後継者の行動は、二択どころか三択、四択の厳しい状況に晒されることになる。
子供が忙しさに混乱しそうになると、親は自分の人脈から人を探してきて子供にあてがうとか、空腹になった獅子の子が、隣の群れで食べている物が欲しい…と、欲しいそぶりの言動をすると親がそれを何とかして調達してきてくれる…。
そんな、子離れできない事業承継が目に付く。自力で崖から這い上がってくる獅子を育てることは本当に難しい。後継者が困難を受け入れ、自分の力で狩猟をしてくるようにならなければ、人間力や生活力を身につけることは出来ない後継者になってしまう。
◆厳しさを乗り切る智慧を教えられるか?!
「獅子の子落とし!」や「可愛い子には旅をさせよ!」などは、残念ながら遠い過去の言葉になっている。
「無理な事業承継」により承け継いだ者にしてみれば、これほど精神衛生上苦しいことはないことを承継させようとする本人や取り巻きは、どれだけ理解していることだろうか。
事業承継が流行しているのは、それをビジネスとしている者による誘導的に『事業承継の商品』として扱われているように思えてならない。
社会から必要とされている企業のみが、生き残ることが出来るといわれているが、親が創設した事業を必ずしも後継者が継ぐことが最善の方法だとは限らない。無理な事業承継をせず、事業を閉鎖することや、第三者に売却することも選択肢の一つであることも正面から捉えたい。
むしろ、資金に余裕がある事業家は、新規事業を創成したい起業家達の支援や指導に尽力して欲しいと大きな期待を持っています。
新事業を創造したいと大きな夢を持って挑む起業家への資金援助は、日本の産業活性化の原動力であり、近未来社会に於ける資産になるものです。 そして、厳しさを乗り越える智慧を大切にすることを指導者が実践してほしいものです。
---------------------------------------------------------------------
【気になる言葉】御為倒し〈おためごかし〉に反吐が出る
面はいかにも相手のためであるかのように偽って人に近づき、本心は自分の利益をはかること。
**********************************************************