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リスク・カウンセラー奮闘記−137
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●足の踏み場もない6DKの主なき古家!
身体が不自由でありながら、父親が認知症になり身動きできない状況にある方のご相談を受け、先日、ようやく折り返し点まで到達しました。
都内の有名一等地の近くに自宅を、都内に貸店舗とマンションを所有する83歳の父親は、5〜6年前から認知症が発症していたようでしたが、病院の検診を受けるように勧める周辺の人の言葉に耳を傾けることもなく、ほとんどの経済活動が停止し無収入の状態になっていました。
不動産を所有していながら『生活保護』の受給を受けて生活していましたが、認知症が進行してからはほとんどの手続きができないままにありました。福祉事務所の方の手厚い保護を受け、認知症治療のための入院手続きと入院費用を福祉で立て替える手続きもお願いできた。
それでも貸店舗はゴミが詰まったままなので事業の収入が無い状態が続いていました。不動産租税の督促があって納付ができない、未納額が膨れて差押えを受け、二進も三進もいかない状態にありました。
司法書士にお願いして成年後見人の申立てをして次の準備をしていましたが、受理される前に病院で亡くなってしまいました。
予てから、相続人より依頼を受けていた自宅の売却処分です。しかしながら、売却より先に残置物の処分をしなければならないのです。バブルの時代を経験してきた人だけあって衣類や小道具が沢山ありました。
だが、家の中はゴミの山。押し入れやタンス、収納棚から取り出した物が、元の位置に戻されないまま床の上に積まれていて、足の踏み場もありません。
床の荷物の下に何があるか分からないからと、靴のまま上がるお許しをいただき、つま先で何かを探し当てるかのように、ご家族にとって大切な遺品がないかを確かめつつ前進します。舞い上がる埃と臭いはマスクの中にまで入ってきます。
●処分残置物の中から「日本刀」が10振!
相続人から事前に聞いていた4振の『日本の刀』の存在が気になります。太刀掛台や太刀立て台がハンガー掛けの後ろから見つかった。その周辺の収納を開けてみると日本刀が見つかった。
怖々と一振ずつ丁寧に取り出すと、全部で10振あることがわかった。相続人は所持する予定が無いと言うことだったので、刀剣類の扱いができる骨董商に同行してもらい、日本刀の扱いも安心してできた。
『銃刀法』による規制により日本刀の所持には『届け出』と『許可証』が必要で、刀は一振ずつ東京都の文化財を管理する部門に登録されていることは、骨董商により学ばせてもらった。
管轄する警察署に連絡し、生活安全課の警察官が来て現場の写真撮影や10振の日本刀の撮影を終え、警察車両に乗せて所轄警察署で保管することになった。
その後も、片付けしている残置物の中から刀剣類が出てこなかったことを報告し、一旦、相続人に引き渡された後、まだ東京都に届け出をしていない刀については新規登録をすることになり、ようやく相続人の手に渡り骨董商への売却が可能になる。
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