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リスク・カウンセラー奮闘記−133
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リスク・カウンセラー奮闘記−133
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●『やったことに…取締役会』でいいのか?
上場企業や資本金が比較的大きい中規模企業では、決算申告の時期になると定期株主総会を招集し、株主総会・取締役会を開催します。
中小零細企業の「事業再生」の相談を受け、株主総会議事録の提示を求めても、議事録を実施し、出席取締役が署名・捺印してファイリングされている企業がいかに少ないことか…。
有るのは、明らかに会計事務所で作成したと思われる決算報告、役員重任の議事録に取締役が捺印したもので、会社にとって明らかに重要事項の決定に関するものなどは、めったに目にすることはありません。
企業の形態の中で最もポピュラーな会社形態が、取締役会の設置された株式会社です。
つまり、ほとんどの企業が議決権数のうち3分の2以上の議決権が社長一人に集中している場合が多く、改めて多数決を要する必要がない「ワンマン会社(社長の意思を通すことができる会社)」というわけで、実際には取締役会を開かないし、議事録も必要ない…と、それはまさに『リスク』を考慮していない会社だといえます。
「取締役会設置会社」において株主総会で決議事項とされているのは…
1.定款変更、解散、合併など会社の組織・事業の基 礎的変更に関する事項、
2.計算書類の承認や株式の第三者有利発行など株主 の重要な利益に関する事項
3.取締役など役員の選任・解任に関する事項
4.役員報酬の決定など役員の専横防止に関する事項
5.事後設立など法規制の潜脱防止に関する事項
●『株主総会』を実際に開かないときのリスクは?
実際には株主総会を開催せず、議事録だけを作成する「なんちゃって株主総会」で済ませておくことは、『株主総会決議不存在確認』の訴えの対象となり、「決議不存在」が認容判決が決定すると、その決議がなかったものとなります。
役員選任の決議や役員報酬の変更など、株主総会の決議事項として処理されていたことが、取締役が行った行為が総て覆されたり、報酬アップが決議されていたら、プラス分の報酬を返納しなければならなくなれます。
さらに、「取締役会」の決議事項であるべくことを取締役会を開催しないで実行した場合、無効となることになります。
特に、利益相反取引の許可、競業取引の許可などは、取締役会を開催しないで経営者が独断ですすめ、事後的に問題が起きたときは取締役間の信頼関係が一気に崩れ、経営機能が崩壊することになります。
医師の診断により『認知症』であることが顕かな取締役が会長や社長の職に留まっていることを看過している中小零細企業の顧問税理士は、株主総会や取締役会の役割の重要性を十分に説明し、会社法に則る「議事録」に流れる精神を啓発する義務があると考えられますがいかがでしょうか?
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事業再生支援チーム
司法書士・行政書士
星野文仁氏/著
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