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リスク・カウンセラー奮闘記−128
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リスク・カウンセラー奮闘記−128
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●知らずにしている『社会的手抜き』とは…?
たくさんの人を集めて力を合わせ重量物を引く実験で1人1人の力を個別に測定し、各人が発揮できる本来の力との比較をしたら90%〜70%の力しか出していないことが分かった。
引く人の人数が増えるほど、1人当たりの引く力が下がっていくというのです。
1人の当たりの力を100%とすると、2人で引くと一人当たりの力は93%に減少し、さらに3人で引くと85%に減少し、8人では一人当たりの力は49%にまで減少していたというのです。
ところが、その中の1人に対して応援サポーター(異性)がエールを送ったら、引く力は弱まらず、本来の力を上回る力が出ていたという結果も得られたという。
『人は集団になるほど力を抜く!?』という実験なのですが、100年も前に発表されていたドイツの心理学者マクシミリアン・リンゲルマン(1861 - 1931)による社会心理学の実験結果だそうです。
リンゲルマンはこの実験結果から『人間は、集団になればなるほど「自分が頑張らなくても他の人が何とかしてくれるだろう。」というように無意識の中で手抜きの心理が働いている。それは、人数が増えるほど責任感が分散されるからだ…』という結論のようです。
心理学用語で『リンゲルマン効果』といわれているこの現象は、道路を歩いているとき老人が倒れているのを見たとき、周囲に誰もいないときは駆け寄って助け起こしたり救急車を呼んで救護行動をするのですが、周囲に他の人の姿が見えた場合は「誰かが救護するだろう…」と、その老人の側を看過してしまう心理が働いていると思える現象がリンゲルマン効果です。
農村や漁村のような過疎地と人が溢れる都心の中で起きるの『見て見ないふり…』をする人の確率は…?、今さら実験するまでもないのかも…。
●組織内の個人の力は「事務分掌」で引き出す
事業再生をする際に行うスクリーニングの過程で、個別面接でカウンセリングをしていると、その人を責めているわけではないのに目の前にある問題を他人に責任転嫁して自分が責任回避をしている言葉を並べ立てる状況に遭遇します。
恐らく、上司からの業務指示がグループに対して与えられたもので、1人1人に対して具体的な指示が与えられていなかったのだと思います。
『リンゲルマン効果』を知っている上司であれば、Aさんには…この仕事をいつまでに、Bさんには…この仕事を、Cさんの担当は…というようにして、一人一人に個別の業務指示をしておくべきだったのだと思います。
指示された本人がその仕事をしなければ、終わらないというように、本人が100%の力を発揮するような環境づくりと指示をするべきなのです。
ここで大切なのは、一人一人の力を発揮させるとともに、しっかりしたコミュニケーションがとれるような環境づくりが必要になります。
一人一人の能力を知り、100%の力が発揮できるような指示と、他力本願にならないような上司の裁量が必要になってくるのです。
街にも、企業内にも、団体でも、過程においても『見て見ないふり』をしないこと、そして、『リンゲルマン効果』で忘れてはならないのは『応援すること、褒めること』です。
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